試作はなぜ行うの? 栄養成分分析・加速試験って何?
基本的に、弊社では、書面にはしていないものの暗黙の了解で設計基準があり、その設計基準で設計されていても、試作品を作ってもらいます。
理由は、実は納期が縮まる理由と、以下の理由で行なっています。
・製剤性の確認
・安定性の確認(加速試験のため)
・性状の確認
・味の確認(チュアブル錠や顆粒、ドリンク、ゼリーなど)
・モニター試験用
・栄養成分分析用
原料によって、錠剤だと固まらない・表面が剥がれる、ハードカプセルだと充填しきれない、ソフトカプセルだと液漏れするなど、いろいろトラブルを引き起こす可能性があるので、製剤性の確認として行なってもらっています。
ある程度、経験則で製剤性のトラブルは回避できるのですが、想定外のトラブルもあるので、きちんと試作する会社さんが多いです。
過去、ある原料が想像以上に臭過ぎたため、錠剤からカプセルに変更したという事例もあります。
また、あるアミノ酸が、ある素材とどうしても化学反応して数日で溶けてしまうなど、想定外のケースもありました。
さらに、素材同士の組み合わせによる反応によって、有効成分が減衰してしまうケースもありました。
想定外のこともありますので、できれば、安定性の確認の目的で、例え商品化後にでも、加速試験まで実施した方が良いと思います。
加速試験とは、虐待試験とも呼ばれ、40℃/75%RHという過酷な環境下で保存し、賞味期限の2年後・3年後を想定して4ヶ月後や6か月後(期間は、安全係数次第)の状況(性情や臭い)や細菌の繁殖、成分含有量を評価するものです。
私の場合、安定性の確認は、加速試験まで行わなくても、机の上に一週間放置するなど、簡易のものでも行うことも多いです。
ちなみに、サプリメントや健康食品で安定性の確認が必要になるのは、医薬品と異なり、複数の成分を組み合わせるケースが多く、さらに吸湿性の高いハーブエキス末まで配合するケースがあるためです。
中には、コラーゲンとビタミンCなど、反応性がある禁忌の組み合わせも存在します。
試作費は、使用する原料の単価などによって変動し、2万円程度の場合もあれば8万円いう場合もあります。そして、OEM会社でも、その試作費を請求する会社、請求しない会社があります。まぁ、今のご時世、ほとんどが請求されますが・・・。
うちは、一元さんの会社さんに対しては、しっかり請求する会社。得意先には、請求しないこともあったり、商品化しない時だけ請求することもあります、
請求しない会社の中には、その試作費が商品の見積りに組み込まれていて割高になっているケースもありますので、そこは、比較してみたいとわからないです。
あと、タイトルにもある栄養成分分析ですが、熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の分析です。近年は、食品表示法が改正され、加工食品での表示は必須となっております。
試作品で栄養成分分析を実施し、1週間くらいで結果が示され、パッケージに組み込めるようになります。その栄養成分分析と商品の本生産は同時に行われていることが多く、試作が行われていないと、本生産されたバルクの一部を分析して表示を確定しなければならないため、タイムロスが多く1.5週間から3週間の納期遅れが生じるのです。
試作を行うと納期が縮まる理由は、ここにあります。
正確には、試作を行わないと、納期が遅くなるなのです。
最後に、もしかすると、今後は、試作を行い、加速試験を行った上で、表示成分含有量を設定するという表示基準が厳密化される可能性もあります。
トクホで含有量の問題が多発し、機能性表示食品で厳密な管理ルールになっているので、今後、すべての健康食品に適応されてもおかしくないです。
加速試験を実施しなくても、2年間・3年間の成り行き保管による試験でも大丈夫です。商品のキープサンプルを多めに取っておけば良いだけです。
そこは、どうにでも対処できるよう、準備しておいていただければと思います。