HOME » 中国ではウコンでなく葛の花茶で解酒が常識

中国ではウコンでなく葛の花茶で解酒が常識

日本では、お酒のお供として定番なのは、ウコンでしょう。

実は、この常識は、日本だけです。

欧米では、ウコンのクルクミンと言えば、認知症予防の素材です。中国の漢方の世界でも、胃薬の位置付けです。

この日本のウコンの位置付けにあるのが、野葛です。漢方の生薬名は、葛花です。
葛は、根を葛根湯でも知られる葛根として利用されているだけでなく、花も有効利用されているのです。

野葛とは、野生種の葛であり、その花のお茶が解酒茶として、古来より飲まれています。

その味は、ほのかに甘く、美味しいです!
癒される味です。

そして、この解酒茶を愛したのが水戸黄門と言われています。
実際、葛花を煎じて飲んでいたそうです。
日本でも、もう飲まれなくなっているようですが、中国では、未だに解酒茶として飲まれ続けています。食経験は、非常に長いです。

しかし、近代(1990年代)に入るまで、この葛花の何がどのように効いているかは解明されていませんでした。

それを解明したのが熊本大学の研究チームでした。
カッカライドという新規成分も発見されています。

現在、カッカライド(イソフラボン配糖体の1つ)が(腸内細菌などによって)変化して薬効を示していることもわかってきていす。

また、野葛には解酒の効果だが、近種のシナクズにはダイエット効果があることがわかっています。これは、それぞれの種で含有するイソフラボンの違いによるものです。現在、シナクズのエキス末は、機能性表示食品にも利用されています。

ちなみに、熊本大学の研究では、野葛のイソフラボンとサポニンを天然比率で同時に摂取すると薬効が上がることまでわかっています。おそらく、イソフラボンの吸収率や生物学的利用能が高まるのでしょう。

もしかすると、そのうち、ペットボトルの野葛茶が出るかもしれませんね。

引用文献

新甫ら. 葛花の薬理学的研究 第1報 葛花のアルコール代謝並びにマウス自発運動に対する影響, 薬学雑誌 1989;109(6), 424-431
新甫ら. 葛花の薬理学的研究 第2報 アルコール誘発性の代謝異常並びに実験的肝障害に対する葛花の影響, 薬学雑誌 1990;110(8), 604-611
Yamazaki T, Nakajima Y, Niho Y, Hosono T, Kurashige T, Kinjo J, Nohara T. Pharmacological Studies on Puerariae flos. III. Protective Effects of Kakkalide on Ethanol-induced Lethality and Acute Hepatic Injury in Mice. J Pharm Pharmacol. 1997;49(8):831-3.
Niiho Y, Nakajima Y, Yamazaki T, Okamoto M, Tsuchihashi R, Kodera M, Kinjo J, Nohara T. Simultaneous analysis of isoflavones and saponins in Pueraria flowers using HPLC coupled to an evaporative light scattering detector and isolation of a new isoflavone diglucoside., J Nat Med. 2010;64(3):313-20.

記事筆者

アンチエイジング・プロ

Scroll Up