販路・ライフサイクル別の適正価格と適正原価率
売れる、売れないは、プライシングが命です。
適正価格や適正原価率は、当然ながら販路毎に異なるのですが、近年は、市場も成熟しているため、商品や素材のライフサイクルからも価格や原価率を変化させていく必要性が出てきています。
私 栗山が市場動向から販路・ライフサイクル別の適正価格と適正原価率をまとめてみました。
※ロットは、3000個くらいを想定しています。さらに小ロットになる場合、+5~10%の原価率を想定する必要があります。
ライフサイクルが成熟期の商品
量販店:980~3980円、25~40%
通販::500~5800円、25~50%
クローズド※:1980~6000円、15~25%
※訪問販売、MLM、SKH、テレマーケティングなど。
※エステやクリニックは、通販とクローズドの中間(顧客層やEC連動の有無などでケースバイケース)。
通販を主たる広告媒体によってもう少し細分化すると、
EC:500~2980円、25~50%
紙系・電波系:1980~5800円、25~40% → 主にクロスセル用途
となるでしょう。
成熟期の商品の場合、量販店と争わなければならないため、かなり厳しいコスト合戦となってしまうでしょう。
理由は、やっぱり、インターネットの普及です。簡単に商品を比較できてしまう時代になりまいた。
この数字について、原価率が高過ぎるというマーケティングサイド(広告代理店も含む)の意見も出るでしょう。一方、ブルーベリー商品のように、原価率が35%前後で大きく流通している商品が存在します。グルコサミンやコラーゲン商品を見ても、同様に高原価の傾向が強いです。
また、量販店の売れ筋商品の原価率は、実際、35%前後のものが多いです。加えて、2ヶ月分の商品にして、包材コストや充填コストを圧縮するなど、厳しい争いに勝ち抜くため、ありとあらゆるコストダウンの工夫をされています。
まぁ、この原価率に否定的な方も、最後まで本ページを読んでいただくと、ご理解いただけると思います。
近年は、クローズド販路でも、成熟期の商品を取り扱うようになった。ただし、市場価格と比べて逸脱しない販売価格と原価率の設定が不可欠となり始めています。全力を投じれるような優れた導入素材も減っている現状もあり、導入期の商品のように一律10%前後では、生き残っていけない時代になりつつあります。衰退する組織ほど、変化や工夫が無いです。
自ずとニーズがある成熟期の商品は、販促費をかける必要が無い分、その減額されたコストを価格に反映していく必要性が出てきています。近年は、そういった成熟期の商品を別枠の会員制通販で販売する組織も現れております。時代は変化しております。
ちなみに、商品のライフサイクルが変化しても、適正原価率を上げれない商材も存在します。
それは、以下の二品であり、以下の原価率が望ましいです。適正価格は、設定しにくい商材だったりもします。
ダイエット商材:10~20%
精力(増大)サプリ:15%未満
ダイエット商材は、成功しても、失敗しても、リピート購入が止まります。成功したら購入の必要性が無くなり、失敗したら騙されたと思って二度と購入しないだけです。リピートが見込めないので、ワンペイに近い収益モデルを作らなければならないので、マーケティングコストを考えると、高原価ではなり立ちにくいのです。
精力(増大)サプリも、基本、ワンペイモデル。何度もリピート購入する人は極めて少ない商材です。
ライフサイクルが成長期の商品
量販店:1980~3600円、20~35%
通販::1680~6800円、15~30%
クローズド:3600~6800円、10~15%
価格競争が始まる頃のライフサイクルです。
最も商品投入が行われやすい商品ライフサイクルだったりします。成長期は、前期と後期でも、かなり適正原価率に差が出てまります。急激に競合も増えるので、プライシングが一番難しいライフサイクルだと思います。
一方、単味商材で狙うなら、このライフサイクル(特に前期)が最も良いのですが、成長期の素材が減っている、また成長期の素材に群がってすぐに成熟してしまうという傾向もあるので、何らかの差別化ポイントを組み込んでいき、付加価値も高めていく必要があります。
また、一番の狙い目でもある成長期初期は、ライフサイクルの見極めが非常に難しいです。
販売側が成長期初期に入っているかな?と考えていても、実は、まだ消費者からは導入期の認知度しかないケースも多々あります。さらに、インターネット上で露出が多くても、必ずしも売れているとは限らないケースもあるので、実際のライフサイクルを見誤ってしまうケースも多々あるライフサイクルだったりします。
この成長期の原価率戦略に関しては、通販の場合、20%前後で初めて生産ロットを増やして15%に近づけていくというアドバイスをすることが多いです。ロットが3万個くらいになれば、加工賃や原材料のコストだけでなく、包材のコストも落ちてきます。イニシャルのコスト、特に1000個前後と小ロットで製造した場合、このコストで価格や原価率の設定しても価格競争力が落ちてしまいます。ある程度、目標とする販売量を想定して価格設定を行う必要があるのです。
さらに、近年は、定期購入コース誘導がメインの販売方法が単品通販の主流となりつつあります。その場合、適正価格は-15~20%、原価率は+5~10%で補正された価格をオススメしております。
特に、ほとんど定期購入でしか販売しない条件下では、単品の価格がめちゃめちゃ高くて定期購入価格で15~20%の原価率設定を行われるケースもありますが、消費者も賢くなってきているので、本当にお得でないと購入に至らなくなってきています。
ライフサイクルが導入期の商品
通販:1680~6800円、10~20%
クローズド:5000~12000円、10%未満
※量販店の商品には適さない。
導入期の素材を利用する場合、認知度の向上に時間とお金がかかるのは当然です。なので、認知度アップのPRコストを加味して、低原価の設定で攻めていかないと、なかなか成功は難しいと考えられます。
サントリーさんのセサミンの実際の原価率は、10%前後だったのではないでしょうか? でも、とんでもない額の研究開発費と広告費をかけています。3年以上は累積赤字だったという話は、嘘ではないと思います。
まぁ、ハイリスクハイリターンの勝負です。
通販の原価率15%神話は、成長期と導入期の素材が多かった時期に生まれてたものです。
当時は、それでよかったのだと思います。
でも、時代は変化し、市場全体のライフサイクルも変化します。変化に対応しなければ、取り残されるだけ。取り残されてしまい、落ちぶれてしまった会社さんをたくさん見てきています。ライフサイクルに合わせて適正価格や適正原価率を変化させていくことが生き残っていくことで大事な要素なのだと考えています。また、その変化に合わせた価格に設定しやすいのが後発組の強みだったりもすると思います。
なお、この設定価格は、広告代理店経験もある栗山の個人的見解です。厳しい見方で、かつ中立な立場で設定させていただいております。