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レスベラトロールの原料別特徴と最新研究

原料の由来と特徴

赤ワイン由来
レスベラトロールを5%以上含み、赤ワインの発酵工程で生じるオリゴメリックプロアントシアニジンも含まれるのが特徴。赤ワイン(ほとんどが南仏産)の副産物から作られるため、価格もリーズナブル。かつヒト臨床試験などのエビデンスも豊富。食経験も豊富。
ブドウ果皮由来
果皮由来のポリフェノールも含む。近年、中国産の安価な原料も流通し始めている。
ブドウ初芽由来
レスベラトロールの二量体であるビィニフィリンを多く含む。多くのレスベラトロール類を含むが、レスベラトロール1%あたりのコストは、やや高い。
メリンジョ由来
インドネシア原産のメリンジョの種子から抽出された原料。レスベラトロールの二量体であるグネチンCなどを多く含む。
リンゴンベリー(サンタベリー)由来
レスベラトロールを10%以上含む原料が多い。中国を原産国とする原料が多く、レスベラトロール1%あたりのコストは赤ワイン由来の原料と同じくらいである。近年、ヒト臨床試験による美容効果も報告されている。

今後、原産地証明の制度が本格化し始めると、産地よる優位性もより強くなってくると予測されます。

法律の違いによる海外市場との違い

日本では、レスベラトロール原料流通に制限があります。海外で流通しても、日本で流通できない原料も多数存在します。

食薬区分の違い

米国などで安価に流通するイタドリ根は、日本において医薬品区分のため、健康食品・サプリメント原料として流通することができません。日本で流通できる原料は、先章で紹介された由来の原料に限定されてきます。
赤ワインを含めブドウ由来の原料が多い理由は、ここにあるのです。

抽出溶媒の制限

日本では、植物抽出物の抽出溶媒もエタノールと水に限定されます。アセトンや酢酸エチルのようにレスベラトロールの抽出に適した抽出溶媒を利用することができない。そのため、日本国内で流通するレスベラトロール原料の多くが5〜10%なのである。一方で、レスベラトロールは抽出しにくいが、他の水溶性ポリフェノールも同時抽出できる利点もある。
100%に近い含有量の原料も存在するが、あまり流通しない。その理由は、先述の抽出溶媒の問題にありそうです。

実際、イタドリ根から酢酸エチルで抽出したレスベラトロールの高純度品が存在し、海外では、レスベラトロール高用量品のサプリが存在します。日本で存在しない理由は、この食薬区分の違いと抽出溶媒の制限によるものなのです。

最新研究

長寿遺伝子を活性化し、カロリーリストラクションと同じようなアンチエイジング効果をもたらされると期待されたレスベラトロールは、研究が進み、詳細なメカニズムやヒト臨床試験での結果が示され始めている。
例えば、レスベラトロールを低用量で摂取した場合と高用量で摂取した場合では、サーチュインの活性経路も異なることがわかり始めています。低用量の摂取では、直接的にサーチュインを活性化するが、高用量の摂取では、サーチュインの関与なく、AMP kinaseを活性化してプラスの効果を示すことがシンクレアの研究チームによって報告されています。

Price NL, Gomes AP, Ling AJ, Duarte FV, Martin-Montalvo A, North BJ, Agarwal B, Ye L, Ramadori G, Teodoro JS, Hubbard BP, Varela AT, Davis JG, Varamini B, Hafner A, Moaddel R, Rolo AP, Coppari R, Palmeira CM, de Cabo R, Baur JA, Sinclair DA. SIRT1 is required for AMPK activation and the beneficial effects of resveratrol on mitochondrial function. Cell Metab. 2012;15(5):675-90.

低用量の摂取によるヒト臨床試験報告

近年、低用量(※30mg以下と定義)でのヒト臨床試験も実施されており、2型糖尿病患者に対して1日当たり10 mgのレスベラトロールを2回に分けて摂取させた結果、インスリンの感受性を正常化したという報告や、冠動脈疾患に対して1日10mgを3ヶ月摂取させたことで血管の柔らかさの指標である血流依存性血管拡張反応(Flow Mediated Dilation、以下FMD)値が改善したという報告もなされている。
また、Tomé-Carneiroらによってレスベラトロールとプロアントシアニジンなどを含んだブドウ抽出物で動脈硬化性疾患の患者や肥満者への効果も評価されている。Tomé-Carneiroらの試験では、1日当たり8mgならびに16mgと低用量のレスベラトロールを含有するブドウ抽出物を1年にわたって摂取することで冠動脈疾患の各マーカーが改善を示している。
弊社の研究においても、12週間、赤ワインエキス末を1日当たり400mg(レスベラトロールとして20mg、オリゴメリックプロアントシアニジンとして160mg)摂取し、12時間以上のウォッシュアウトタイムを設けて検査を行った結果、血管柔軟性を示すFMD平均値が摂取前の約30%も改善した。対照食品群に対して有意差も示し、持続的な血管柔軟性の改善効果が示されている。

Resveratrol improves insulin sensitivity, reduces oxidative stress and activates the Akt pathway in type 2 diabetic patients. Br J Nutr. 2011; 106(3): 383-9.
Cardioprotection by resveratrol: A human clinical trial in patients with stable coronary artery disease. Clin Hemorheol Microcirc. 2012; 50(3): 179-87.
One-year consumption of a grape nutraceutical containing resveratrol improves the inflammatory and fibrinolytic status of patients in primary prevention of cardiovascular disease. Am J Cardiol. 2012; 110(3): 356-63.
Grape resveratrol increases serum adiponectin and downregulates inflammatory genes in peripheral blood mononuclear cells: a triple-blind, placebo-controlled, one-year clinical trial in patients with stable coronary artery disease. Cardiovasc Drugs Ther. 2013; 27(1):37-48.
赤ワインエキス末 (レスベラトロール含有) の持続的な血管柔軟性ならびに脂質代謝への効果 – 健常人における単施設二重盲検ランダム化並行群間比較試験 -, 新薬と臨牀 2017; 66: 783 -801

記事筆者

アンチエイジング・プロ

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