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糖鎖 シアル酸(唾液酸)

シアル酸とは、炭素 9 個からなり、アミノ基とカルボン酸を有するノイラミン酸の修飾体の総称です。

アセチル修飾されたシアル酸:N-アセチルノイラミン酸 (Neu5Ac)、グリコリル修飾されたシアル酸: N-グリコリルノイラミン酸 (Neu5Gc)、水酸基に置換されたシアル酸:デアミノノイラミン酸(3-deoxy-D–glycero–D-galacto-2-nonulopyranosonic acid; KDN) が代表的なシアル酸とされています。

シアル酸は、ヒトの初乳やツバメの巣に含まれていることで、良く知られています。

このシアル酸には、糖鎖として様々な効果が期待されており、ラットの唾液分泌や脳機能を改善するという報告がなされています。また、老化を抑制するホルモンであるパロチンに似た作用があることから、天然の美容アンチエイジング成分としても注目されています。

シアル酸は、ヒトの初乳に多く含まれ、乳児の免疫機能や脳機能の発達において重要な役割を果たしていると考えられており、粉ミルクにも機能性強化に用いられていたりもします。
また、細胞間の情報伝達や、インフルエンザ等の病原体の認識に関与していると考えられています。シアル酸は、病原体の消化管への付着を防ぎ、感染を防ぐ効果があるとされており、感染から赤ちゃんを守る成分とされているのです。

引用文献(学習能に関する報告)

Hiratsuka S, Honma H, Saito Y, Yasuda Y and Yokogoshi H. Effects of dietary sialic acid in n-3 fatty acid-deficient dams during pregnancy and lactation on the learning abilities of their pups after weaning. J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2013; 59, 136-143
Morgan B.L.G., Winick M., Effects of administration of N-acetylneuraminic acid (NANA) on brain NANA content and behavior. J. Nutr. 1980; 110 (3): 416-24.

引用文献(唾液分泌に関する報告)

Sprenger N., Julita M., Donnicola D., Jann A. Sialic acid feeding aged rates rejuvenates stimulated salivation and colon enteric neuron chemotypes. Glycobiology 2009; 19 (12):1492-1502.

引用文献(抗炎症・抗酸化ストレスに関する報告)

Yida Z., Imam MU., Ismail M., Ismail N., Ideris A., Abdullah MA. High fat diet-induced inflammation and oxidative stress are attenuated by N-acetylnueraminic acid in rats. J Biomed Sc. 2015; 22:96

インフルエンザの治療・予防薬の研究

シアル酸は、ウィルス感染作用など観点から、インフルエンザの治療・予防薬の研究も行われています。実際、インフルエンザ治療薬のリレンザは、シアル酸の構造を基に開発されています。

インフルエンザウイルスやコロナウィルス(SARS)が宿主細胞に侵入する時、最初の付着点はシアリルラクトース(シアル酸と乳糖が結合した母乳オリゴ糖の1つ)部位です。糖鎖から酸性糖であるシアル酸を遊離させる加水分解酵素であるシアリダーゼの活性を阻害すれば、感染を予防したり、治療に活用できるのではないか?と考えられています。そして、N-アセチルノイラミン酸ナトリウム(シアル酸の誘導体)は有効な抗去痰薬として大きく期待されています。

また、現在、英国のグラクソグループの国際的な共同研究によって、4-アミノ-2,3-デオキシ誘導体や4-グアニジノ-2,3-デオキシ誘導体が合成され、強力なシアリダーゼ活性阻害作用を利用したインフルエンザの治療薬(ザナミビル;リレンザの有効成分)として開発されています。

引用文献

シアル酸研究会 第3章:シアル酸とその誘導体の生理活性

記事筆者

アンチエイジング・プロ

発酵生産されたシアル酸原料

近年は、発酵法で生産されるN-アセチルノイラミン酸も供給され始めています。2016年10月12日、N-アセチルノイラミン酸が非医薬品リストに追加され、市場流通しやすくなった背景も存在ます。

もともと、インフルエンザ対策などで注目が高まりつつある素材でしたが、中国武漢などで蔓延した新型コロナウィルス対策で、急にニーズが高まりつつある素材です。

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