コラーゲンを科学する
コラーゲンは、人気の美容素材です。主に、1型コラーゲンのペプチド原料が用いられています。また、軟骨由来の2型コラーゲンは、関節ケア商品にも多く利用されています。
コラーゲンの構造
さて、このコラーゲン、どうったものなのでしょうか?
一般的にコラーゲンと言うと、1型コラーゲンのペプチドを指します。
ペプチドなので、分子量は1000~1万、多くのコラーゲンペプチド原料は、1500~5000の分子量のものが多いです。一方、厳密に言うと、コラーゲンとは、分子量30~45万の高分子体です。3重らせん構造を成しています。
このコラーゲンを細かく分解したものがコラーゲンペプチドです。コラーゲン→コラーゲンペプチド→アミノ酸
分解によって、徐々に分子量が小さくなっていきます。ちなみに、コラーゲンとゼラチンが混同されがちですが、ゼラチンとは、コラーゲンの凝集物です。コラーゲンは3重らせん構造のまま安定化しにくいため、一旦ゼラチンを作ってから酵素で切断してペプチドを作るケースも多いです。
さらに分解すると、アミノ酸になります。コラーゲンは、ヒドロキシプロリンなどの20種類以上のアミノ酸で構成されます。グリシン(Gly)が約3分の1を占め、プロリン(Pro)とヒドロキシプロリン(Hypro)が約21%、アラニンが11%と、この4種類で全アミノ酸の約3分の2を占めています。
コラーゲンペプチドの量を測る場合、どのコラーゲンにも一定量含まれるアミノ酸の1つであるヒドロキシプロリンの量を測ります。そこから、コラーゲン量が算出されます。一方、実は、その算出されるコラーゲン量の構造は、一定ではないのです。
引用文献
奥山 健二 コラーゲンの構造 日本結晶学会誌 2012; 54: 263-269
コラーゲンの種類
コラーゲンには、α1 鎖、α2鎖、α3鎖など3本の鎖がらせん状を成しています。中には、α鎖同士が結合したバンドであるβ鎖やγ鎖も存在します。
1型コラーゲンは、2 本の α1 鎖と 1 本の α2 鎖から構成されます。2型コラーゲンは、3本のα1鎖から構成されます。
1型コラーゲンは皮膚の部分に多く存在し、2型コラーゲンは軟骨部分に多く存在します。
コラーゲン原料
1型コラーゲンは豚由来と魚由来(いわゆるフィッシュコラーゲン)、2型はサメ軟骨由来と鮭鼻軟骨由来、鶏軟骨由来の原料が存在します。
1型コラーゲンは、主に皮から抽出される原料が多かったのですが、近年は、魚の鱗などからも抽出されるようになっております。化粧品原料ではらせんをほどいてアテロ化されたコラーゲンも存在しますが、健康食品用途の原料はほとんどがペプチド化されています。
2型コラーゲンは、サメ軟骨由来のペプチド原料と鮭鼻軟骨由来ならびに鶏軟骨由来の非変性タイプの原料が存在します。
コラーゲンの機能性
コラーゲンは、構造や種類によって機能性が異なります。厳密には、原料によって分子量(分布)なども異なることがわかっているため、原料によっても機能性は異なってくるでしょう。
1型コラーゲンペプチドを摂取することによって体内のコラーゲン合成が活発になり、肌にハリや弾力を与え、しわやたるみを防ぐ効果があると期待されており、ヒト臨床データも存在します。2.5~10g/日の量で、摂取することが多いです。
近年は、プラセンタ同様、ジペプチドやトリペプチドの機能性が注目を浴びています。
引用文献
コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果 日本食品科学工学会誌 2009; 56(3): 137-145.
コラーゲンペプチドの食品機能性 日本食生活学会誌 2014;25(1)005-008.
Oral Ingestion of Collagen Hydrolysate Leads to the Transportation of Highly Concentrated Gly-Pro-Hyp and Its Hydrolyzed Form of Pro-Hyp Into the Bloodstream and Skin. J Agric Food Chem. 2017;65(11):2315-2322.
非変性のⅡ型コラーゲンには、鶏軟骨由来のものでも、鮭鼻軟骨由来のものでも、ヒト臨床試験が存在します。エピトープという抗体結合部分が存在し、免疫寛容によって機能性を示すことが明らかになっています。
記事筆者
アンチエイジング・プロ 栗山雄司(博士)